「実家に電話をしたのに、なかなか出ない」
「折り返しもないまま、気づけば夜になっていた」
一人暮らしの親がいる家族にとっては、ちょっとした小さな出来事も大きな不安につながりますよね。ただ、親に心配なことを伝えても「大丈夫」と言うことが多く、また毎日様子を見に行くのも現実的ではありません。
この記事では、電話・LINEの習慣化や自治体の見守りなど、今すぐ無料・低コストで始められる高齢親の見守り方法や、不安が残るときの民間サービスの考え方などについて紹介してます。
一人暮らしの高齢者で「毎日」人と話す人は4割以下

離れて暮らす一人暮らしの高齢者は、家族から状況が見えにくくなりやすいという事情があります。まずは高齢者のコミュニケーション状況を確認してみましょう。
高齢者のコミュニケーション頻度

内閣府が令和5年度に実施した、高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)によると、65歳以上の高齢者の方で、人と話をする頻度が「毎日」と答えた人は全体の72.5%でした。5年前の調査(平成30年度)では90.2%で、頻度は大きく下がっています。

一人暮らしの高齢者に絞ると、さらに差が出ます。「毎日」人と話をすると答えた人は38.9%で、一人暮らし以外の人の80.9%と比較すると、倍以上の差が開いているという結果になってます。
一人暮らしの高齢者で、「1週間に1回」人と話す人は14.9%、「1週間に1回未満・ほとんど話をしない」人は14.7%で、合わせると約3割の人は週に1回以下しか人と話していないことになります。
出典:「1 高齢期の住宅・生活環境をめぐる状況や意識について|令和6年版高齢社会白書(全体版)」(内閣府)
親が一人暮らしだと、家族のほかに日々の変化に気づいてくれる人が少なくなりやすいということです。だからこそ、子どもからの連絡が大きな意味を持ってきます。
近所の人の助けが身近にあるとは限らない

同じ調査で、「近所の人との支え合い」が地域に住み続けるために必要と答えた人は半数以上でした。

ただ、実際の付き合い方を見ると、「会えば挨拶をする」「立ち話をする」といった表面的なものが多く、「病気のときに助け合う」「ちょっとした用事を頼み合う」といった深い付き合いは1割前後にとどまっています。
出典:同上
この調査から「近所の人がいるから大丈夫」とは言い切れないことが分かります。いざというときに連絡してもらえる関係を、意識して作っておくことが大切です。
その他、一人暮らし高齢者の人数や孤立死の件数など「令和の一人暮らし高齢者」の現状については、下記の記事でまとめています。
見守りを始める前に:目的と親への伝え方

見守りの目的は「異変の早期発見」と「孤立の防止」
見守りの目的は、親の生活を管理することではありません。
- 異変に早く気づく:
転倒、体調不良、物忘れの増加などを見逃さない - 孤立を防ぐ:
誰かとつながっている状態を保つ
この2つを意識すると、「どこまでやればいいのか」について考えやすくなります。
親に嫌がられない伝え方
見守りは、親が納得していないと長続きはしません。伝え方にも注意が必要です。
- 「心配」を主語にして話す:
「見張りたい」ではなく、「何かあったとき、すぐ気づけると私が安心できる」と伝える - 小さく始める:
まずは「週に何回か電話させて」といった軽いお願いから始める - 親にもメリットがあると伝える:
「困ったときにすぐ手伝える」など、親の安心につながる点を添える - 選んでもらう:
「電話とLINE、どっちが楽?」など、親が決められる余地を残す
今すぐ無料・低コストでできる見守り方法

特別な機器の設置や契約をしなくても、すぐに始められる見守り方法はたくさんあります。
1. 電話・LINEを習慣にする
いちばん手軽で、費用をかけずに始めやすい方法の一つです。
- 毎日または週◯回の「決まった時間」に連絡する(夕方など、親が家にいやすい時間が目安)
- 長電話でなくてもOK。LINEのスタンプや「ごはん食べた?」の一言でも十分です
- 「食事」「睡眠」「薬」「外出」など、生活の具体的な質問を入れると、変化に気づきやすくなります
- 「◯時までに連絡がなければ、こちらからかける」「それでも出なければ△△さんに様子を見てもらう」など決めておくと、いざというとき慌てずに済みます
2. 近所の人・親戚・かかりつけ医に協力をお願いする
- 近所の人や親しい友人と、連絡先を交換しておく(「何かあったら連絡してください」と一言添えておく)
- 近くに住む親戚に、様子見をお願いできるか相談する
- 合鍵の預け先を決めておく(防犯面も考え、信頼できる相手に限る)
- かかりつけ医の通院日を把握しておくと、受診が途切れたときの変化に気づくきっかけになる
3. 郵便・新聞・宅配など、事業者の見守りを活用する
自治体によっては、新聞配達・郵便局・ガスや電気の事業者などと協定を結び、「ポストに郵便物が溜まっている」「いつもと様子が違う」といった異変に気づいたら連絡する仕組み(見守り協定・見守りネットワーク等)を設けています。
対応する事業者や内容は地域によって異なるので、親が住む市区町村の高齢福祉の窓口や地域包括支援センターに確認してみてください。
4. 自治体の見守りサービスを調べる
自治体では、次のような支援も案内していることがあります。
- 民生委員による訪問・見守り
- 安否確認つきの配食サービス
- 緊急通報装置の貸与
- 地域の見守り・交流活動(サロン、友愛訪問など)
対象となる年齢や条件、費用は自治体によって異なります。サービス利用の相談は、親が住む地域の高齢福祉の窓口や地域包括支援センターに問い合わせるのが一番確実です。
5. 低コストの簡易グッズを使う
比較的低コストで始められる見守りグッズもあります。
- 通信機能付きの電気ポットなど、普段の家電の使用状況を家族に知らせるタイプ
- 玄関やリビングに置く人感センサー・開閉センサー
- 見守りカメラ(親の理解・同意が重要。映す場所に配慮が必要)
本体価格や月額料金は製品によって異なります。購入を検討する際は、費用や通信環境、親が使いやすいかなど確認しましょう。
6. 帰省・訪問のときに「いつもと違うところ」をチェックする
親に会える機会は貴重な見守りのチャンスです。下記は特にチェックしておきたいポイントです。
- 冷蔵庫に古い食べ物が増えていないか
- 郵便物や請求書が溜まっていないか
- 部屋の散らかり、ゴミの出し方に変化はないか
- 薬の飲み残しはないか
- 同じ話を何度もする、約束を忘れることが増えていないか
- 不審な契約書や勧誘のチラシがないか
無料・低コストの見守りでは足りないと感じるサインとは

ここまでの方法で十分な方もいれば、不安が残る方もいます。下記のようなときは、次の段階を考えるタイミングかもしれません。
- 持病があり、急な体調変化が心配
- 転倒が増えた、足腰が弱ってきた
- 物忘れが増えてきた
- 夜間や早朝など、連絡がつきにくい時間帯の不安が大きい
- 距離が遠く、何かあってもすぐに行けない
- 電話に出ないことが増え、そのたびに不安になる
まず地域包括支援センターに相談を
どこに相談すればいいか分からないときは、親が住む地域の地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)への問い合わせがおすすめです。
介護保険の対象になっていなくても、親本人や家族からの相談を受け付けていて、必要な支援につなげてくれます。
「市区町村名+地域包括支援センター」で検索することで、自治体のホームページ等を調べることができます。また下記の厚生労働省のサイトからも確認できます。
・ 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
・ 地域包括ケアシステム|厚生労働省
より手厚く見守りたい場合は民間サービスも選択肢に

家族だけ、地域だけでは不安が残る場合は、民間の見守りサービスを取り入れるとより安心です。
民間サービスでできること
- 緊急時にボタンを押すだけで通報できる
- センサーなどで日常の異変を検知して知らせる
- 状況に応じて、専門スタッフが駆けつける(サービスによる)
見守りサービスには、センサー型・カメラ型・緊急通報ボタン型・電話/訪問型・GPS型・家電連動/AI型などの種類があります。仕組みや向き不向きなどは、次の記事で比較しています。
警備会社のサービスも選択肢の一つ
「高齢者の見守りサービス」を検討する際、多くの人が警備会社大手の「セコム」と「アルソック」の「見守りプラン」を候補として挙げるのではないでしょうか?
料金・サービス内容・駆けつけの違いなど比較・解説しています。
「一人暮らし親の見守り」のよくある質問

Q. 親が見守りを嫌がるときは?
「見張る」のではなく、「何かあったときにすぐ駆け付けたい・助けたい」という気持ちを伝えることが大事です。電話やLINEなど、親の負担が少ない方法から始めて、様子を見ながら親が受け入れやすい見守り方法を取り入れていくことをおすすめします。
Q. 離れて暮らしていて、最低限何をすればいい?
まずは次の3つから始めるのがおすすめです。
- 決まった時間に連絡する習慣を作る
- 近所の人や親戚の連絡先を聞いておく
- 親の住む地域の地域包括支援センターの連絡先を控えておく
Q. 電話に出ないときは、どうすればいい?
まずは時間を置いて固定電話と携帯電話の両方にかけ直したり、LINEやSMSでメッセージを送ったりしてみましょう。それでもつながらず、近所の人や親戚にも確認できない場合は、状況を見てマンション・アパートの管理会社や地域包括支援センターなどに相談しましょう。
事件や事故、急病など、命にかかわる状況が疑われるときは、迷わず110番(警察)や119番(救急)に連絡してください。110番(警察)への判断を迷う場合は警察相談専用ダイヤル(#9110)へ、119番(救急)判断を迷う場合は救急安心センター(#7119)へ相談することもできます。
まとめ:完璧を目指さず、できることから始めよう

一人暮らしの親の見守りは、いきなり大がかりな準備をしなくても始められます。
- まずは連絡の習慣づくりから:
電話・LINE、帰省時のチェック - 次に地域とつながる:
近所・親戚・かかりつけ医、自治体や地域包括支援センターへ相談する - それでも不安なら民間サービス:
親に合ったサービス選びが大事
大切なのは、親が受け入れやすい方法で、無理なく続けられることです。できることから、一歩ずつ始めていきましょう。
参考資料・出典


