「老人ホームの月額費用が20万円と書いてあったのに、実際の請求書を見たら25万円を超えていた…」
「パンフレットに載っている金額だけで資金計画を立てて大丈夫なのかな?」
親の施設探しを始める際、多くの方が見落としがちなのが「月額利用料以外にかかる費用の存在」です。
老人ホームのパンフレットやウェブサイトに記載されている「月額費用(家賃・管理費・食費)」は、あくまで基本料金です。実際には、生活を送る上でさまざまな「実費」や「選択サービス料(オプション費用)」が加算されます。
この記事では、老人ホームなどの入居後にかかる「隠れた費用(月額費用以外の実費項目)」と、予算オーバーを防ぐための資金計画のポイントを分かりやすく解説します。
なぜ「表示されている月額費用」だけでは暮らせないのか?

老人ホームの提示する月額費用は、ホテルで例えると「室料 + 基本食事代」のようなものです。
日常の個人的な買い物、医療費、個別の介護サービス代などはすべて「別途実費」となります。
これらを知らずに「年金収入=月額利用料」でギリギリの施設を選んでしまうと、毎月数万円の赤字が発生し、最悪の場合は退去せざるを得なくなってしまいます。
目安として、パンフレット記載の「月額費用 + 3万〜5万円程度」が実際の毎月の支払額になると考えておきましょう。
毎月必ずかかる「隠れた費用(実費)」リスト

まずは、どの施設に入居しても毎月発生する代表的な実費項目です。
① 介護保険の自己負担分(月:数千円〜数万円)
- 内容:施設で介護サービスを利用した際の手数料です。
- 費用:要介護度や所得に応じて「1〜3割」を自己負担します。
- 介護付有料老人ホーム:要介護度に応じた「定額制」(例:要介護3で1割負担の場合、月約2万5千円前後)
- 住宅型有料老人ホーム:利用した分だけの「出来高制」(利用量により変動)
② 医療費・薬代・訪問診療費(月:5,000円〜2万円程度)
- 内容:持病の薬代、提携医療機関による訪問診療(往診)代、歯科訪問診療代などです。
- 費用:医療保険(1〜3割負担)が適用されますが、訪問診療の「交通費や管理費」が別途かかる場合があります。
③ おむつ代・日用品費(月:5,000円〜1万5,000円程度)
- 内容:おむつ・尿取りパッド代、歯ブラシ、シャンプー、ティッシュなどの日常消耗品です。
- ポイント:施設で購入すると定価販売で高くなるケースがあります。「持ち込み可能か」「処分費用はかかるか」を事前に確認しておくと節約できます。
④ 衣類のリネンレンタル代・洗濯代(月:3,000円〜1万円程度)
- 内容:シーツや布団のレンタル代、日常着の洗濯代です。
- ポイント:施設内の業者に洗濯を外注する場合、月額固定または1袋いくらという従量制で費用が発生します。(※ご家族が持ち帰って洗濯する場合は0円に抑えられます)
⑤ 水道光熱費(月:1万円〜2万円程度/※施設による)
- 内容:居室で使用する電気・ガス・水道の費用です。
- ポイント:管理費(共益費)の中に光熱費が含まれている施設も多いですが、「個別のメーターで使った分だけ実費請求」「光熱費として毎月定額(約1.5万円など)が別途加算」という施設もあります。パンフレットの金額に光熱費が含まれているか必ず確認が必要です。
施設によって差が出る「有料オプション費用(選択サービス)」

次に、施設ごとのルールや利用状況によって差が出るオプション費用です。契約前に「何が有料で何が無料か」を必ずチェックすべき項目です。
| サービス項目 | 内容・費用の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通院同行費 | 1時間あたり 1,500円〜3,000円程度 | 協力医療機関以外への通院は有料になるケースが多い |
| 買い物代行・役所手続き | 1回あたり 1,000円〜2,000円程度 | 家族が行えない場合に依頼する費用 |
| 理美容代(出張理容) | 1回(カット)3,000円〜5,000円程度 | 施設に来る訪問理容を利用した場合 |
| 個別のアクティビティ・外食費 | 材料費や外食の実費(数千円〜) | 書道や絵画の材料代、外出イベント参加費 |
退去時や予期せぬトラブルで発生する費用

毎月の費用だけでなく、入居中や退去時に一時的に必要となる費用も頭に入れておきましょう。
- 居室の原状回復費(退去時)
- タバコのヤニ汚れや壁・床の損傷がある場合、修繕費用が発生します。入居時に「敷金」を預けている場合は、そこから相殺されます。
- 入院中の管理費・家賃(不在時)
- 病気などで病院に数ヶ月入院した場合でも、部屋を保持し続ける限り「家賃」や「管理費」は毎月発生します。(※食費や個別の介護費用は発生しません)
予算オーバーを防ぐための3つのチェックポイント

入居後の資金難を防ぐために、契約前に以下の3点を必ず実行してください。
【予算オーバーを防ぐ3つの鉄則】
- 見積もりは「基本月額費用 + 3万〜5万円(光熱費が別途請求の場合はさらに + 2万円)」で試算する
- 契約前に「選択サービス料金表(オプション一覧表)」を提示してもらう
- おむつや日用品の「持ち込み規定」と「処分費」を確認する
現実的な費用把握が安心な老後生活に繋がる

有料老人ホームの費用は、パンフレットの「月額利用料」だけを見て判断すると思わぬ落とし穴にハマってしまいます。
必ず「毎月かかる実費(介護保険料・医療費・日用品代・水道光熱費)」と「オプション料金」を含めた総合的な見積もりを作成してもらいましょう。
資金計画に不安がある場合は、施設の相談員(生活相談員)やケアマネジャー、無料の高齢者施設相談窓口などに具体的なシミュレーションを依頼してみるのがおすすめです。
