介護老人保健施設(老健) について、入所の条件や対象者、申込方法や入所までの流れ、入所期間や利用可能な方法、区分の種類、退所になってしまう理由など、介護老人保健施設に入所するための情報や注意事項についてまとめてます。
※ 介護老人保健施設は 「入所」だけでなく、「ショートステイ(短期入所)」「デイケア(通所リハビリテーション)」「デイケア(通所リハビリテーション)」のサービスも提供していますが、こちらでは「入所」についてまとめています。
必ず厚生労働省や自治体等の公式サイトなどから最新情報をご確認の上ご利用ください。
介護老人保健施設について
介護老人保健施設・老健とは
介護老人保健施設とは 、介護を必要とする高齢者が可能な限り自立した日常生活が送れるよう、在宅復帰や在宅療養の支援を行ってくれる施設です。
介護老人保健施設を省略して 「老健」 とも呼ばれています。
入院治療後などに、リハビリテーションや生活訓練等の実施、必要な医療・介護などを提供してもらえます。
介護保険が適用される公的な介護施設の一つです。
介護老人福祉施設に注意!
「介護老人保健施設」 と名称が似ている「介護老人福祉施設」 ですが、こちらも介護保険が適用される公的な施設です。
介護老人福祉施設は「介護保険法」による名称で、「老人福祉法」による名称の「特別養護老人ホーム」、また特別養護老人ホームを省略して「特養」とも呼ばれています。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は常に介護が必要だけれども自宅での介護が困難な、要介護の高齢者のための生活施設です。
特別養護老人ホーム(特養)とは? 入所条件、申込方法、注意事項などご確認希望の方はこちら
介護老人保健施設 対象者・入所条件
介護老人保健施設への入所対象者は、要介護1~5の要介護認定を受けた65歳以上の方になります。
但し、40歳以上60歳以下の方で特定疾病により介護認定が下りている方も対象となります。
入所の条件は、病状が安定し入院治療の必要がない方になります。
介護老人保健施設 入所期間
入所期間は原則3~6か月
介護老人保健施設は基本的に在宅復帰を前提としているため、入所期間は原則3~6か月程度となっています。
施設の継続が必要かの審査が入り、退所が可能であると判断された場合は退所を促されます。
判断の基準は施設の方針により異なります。
他施設への入居待ちに利用可能
特別養護老人ホームや有料老人ホームなど長期的に入所できる施設へ転居するまでの、入居待ちの間入所することも可能です。
但し対応が難しいケースや他施設への入所申請が必要など、介護老人保健施設毎に対応が異なりますので確認が必要です。
施設により看取り可能
介護老人保健施設の看取りに関して、在宅復帰率が80%以上の施設では
「積極的に施設内看取りを行っている」 割合が44.0%
「必要な時期になれば行うこともある」 割合が32.0%
「特に看取りは当施設の役割とは考えていない」 割合は16.0%
「不明」 割合は8%
という調査結果がでています。
また在宅復帰率が10%未満の施設でも、
「積極的に施設内看取りを行っている」 割合が16.8%
「必要な時期になれば行うこともある」 割合が52.9%
「特に看取りは当施設の役割とは考えていない」 割合は21.7%
「不明」 割合は8.5%
となっています。
看取りの対応は介護老人保健施設毎に異なる結果となっていますので、看取りまでを希望されている場合には、希望施設や担当の医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどにご相談されることをおすすめします。
【出典】「介護老人保健施設の報酬・基準について」より
平均在所日数
介護老人保健施設の平均在所日数は、
・ 平成22年度 329日
・ 平成25年度 311日
・ 平成28年度 299日
となっています。
実際の介護老人保健施設の在所日数は、約10~11か月ほどという調査結果が出ています。
【出典】「介護老人保健施設」より
介護老人保健施設 区分の種類について
厚生労働省は在宅復帰率やベッド回転率など厚生労働省が定める要件を満たし、在宅復帰や在宅療養支援の機能が高いと認めた施設に対し、在宅療養支援機能に対する評価として5種類の区分を設けました。
在宅復帰・在宅支援機能が高い
↑ ・ 超強化型
・ 在宅強化型
・ 加算型
・ 基本型
↓ ・ その他
在宅復帰・在宅支援機能が低い
高い在宅復帰率の施設は手厚いリハビリなどのサポートが期待できる分、費用も高くなるので注意が必要です。
(※ 但し早期退所となれば、結果的に施設利用代が抑えられます。)
早期の在宅復帰を希望されるのか、他施設への入所待ち利用や看取りまでなど入所期間を定めず利用されたいのかなど、介護老人保健施設の利用目的に合わせた区分の施設選びが必要になります。
介護老人保健施設 入所方法
下記では、基本的な介護老人保健施設(老健)の申込み方法や入所までの流れをご紹介しています。
施設ごとに対応が異なりますので、必ずご希望施設へお問い合わせ下さい。
入所のお申込みやお手続きは、ご本人様又はご家族が直接行います。
事前準備
ご希望の介護老人保健施設へ必ず入所できるとは限らず、またお申込み後から入所までお時間が掛かる場合があります。
病院に入院している場合は医療ソーシャルワーカーに、在宅介護をしている場合はケアマネジャーに前もって相談を行うことで、円滑に進めるようサポートしてもらえます。
申込み方法・入所までの流れ
- お問合せ
お電話で入所希望のお問合せを行います。
お手続きについての案内や説明を受け、施設への見学・相談の予約を入れます。 - 見学・相談
施設の役割や目的、サービス内容等についての説明や施設の見学を行います。
入所希望者の現在の状況やご希望・相談内容などをお伝えします。
費用の目安料金や負担額などの説明を受けます。
「施設利用申込書」など必要書類を受取ります。 - 入所のお申込み
施設の見学や相談対応に対し問題が無ければ、お申込みを行います。
「施設利用申込書」や「健康診断書」「診療情報提供書」など必要書類を提出します。 - 事前面談
相談員がご自宅や病院、施設等に訪問し、提出書類の確認と共に、ご本人様やご家族と事前面談を行います。 - 入所判定
提出書類や事前面談の内容を基に、入所判定が行われます。 - 判定結果のご連絡
基本的にはお電話で入所判定のご連絡が入ります。
入所決定となった場合は、入所日の調整に入ります。 - 契約・入所
入所施設と契約を結び、入所となります。
優先順位について
入所の優先順位は申込み順ではなく、厚生労働省令により介護の必要の程度や家族の状況、介護期間など、より入所の必要性が高い方から順番に入所できる方法になっています。
入所の優先順位
介護老人保健施設への入所は、厚生労働省令により「医学的管理の下における介護及び機能訓練の必要性を勘案し、介護保健施設サービスを受ける必要性が高い」かたを優先的に入所させるよう指導しています。施設に、入所に関する検討のための委員会を設け、入所の決定は、その合議によるものとされています。申し込み順により入所が決定されるわけではありません。
介護老人保健施設|東京の福祉オールガイド|福ナビ
介護老人保健施設(老健) 退所になる理由
介護老人保健施設に入所しても、施設側から退所を求められる場合があります。
退去要件は契約書や重要事項説明書等などに明記されているので確認が必要です。
- 介護状態の改善
入所後に介護状態が改善され、要支援2以下など入所要件に該当しなくなった場合 - 長期間の入院
入院期間が長期にわたる場合 - 高度医療の必要性
高度な医療処置や、24時間の医療対応など施設での対応が困難になった場合 - 迷惑行為
他の入所者や施設スタッフに対し、迷惑行為が行われる場合 - 費用の滞納
費用が払えず滞納が続いた場合
介護老人保健施設の居室それぞれの特徴や利用料の内訳、介護保険が適用される費用・適用外の費用、介護度別の1か月の自己負担の費用の目安など、居室と費用についてご確認希望の方はこちら。
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