特別養護老人ホーム(特養) は、介護保険が適用される公的な介護施設の一つです。
自己負担が少なく、費用を抑えて利用できると人気の老人ホームです。
特別養護老人ホームの入所の条件や対象者・対象外の方、申込方法や入所までの流れ、お住まい地域と別の地域の特養に入所希望の場合、退所になってしまう理由など、特別養護老人ホームに入所するための情報や注意事項についてまとめてます。
必ず厚生労働省や自治体等の公式サイトなどから最新情報をご確認の上ご利用ください。
特別養護老人ホーム(特養) について
特別養護老人ホーム・特養とは
特別養護老人ホームとは 、常に介護が必要だけれども自宅での介護が困難な、要介護の高齢者のための生活施設です。
特別養護老人ホームを省略して 「特養」 とも呼ばれています。
入浴や排泄、食事などの日常生活のお世話だけでなく、機能訓練や健康管理及び療養上のお世話なども手助けしてもらえます。
介護保険が適用される公的な介護施設の一つです。
介護老人福祉施設とは
特別養護老人ホームは「老人福祉法」による名称です。
介護老人福祉施設は「介護保険法」による名称です。
基本的には同じ施設のことを指しています。
自治体などでは 「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」との表記をよく見かけますが、民間企業のサイト等では「特別養護老人ホーム(特養)」での表記が多いように思えます。
第二十条の五 特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。
老人福祉法 | e-Gov法令検索
27 この法律において「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が三十人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。
介護保険法 | e-Gov法令検索
介護老人保健施設に注意!
「介護老人福祉施設」 と名称が似ている 「介護老人保健施設」 ですが、こちらも介護保険が適用される公的な施設です。
名称を省略して「老健」とも呼ばれています。
介護老人保健施設(老健)は自宅に戻れるようリハビリを重点的に行う施設です。
入所期間は原則3か月で、3か月ごとに延長の判断があるなど入所期間に制限を設けています。
介護老人保健施設(老健)とは? 入所条件、申込方法、注意事項などご確認希望の方はこちら
養護老人ホームに注意!
「特別養護老人ホーム(特養)」 と名称が似ている 「養護老人ホーム」 ですが、こちらも公的な施設です。
経済的に困窮している高齢者や、環境上の理由で在宅生活が困難な高齢者の、社会復帰を促すことを目的としている施設です。
地域密着型特別養護老人ホームとは
地域密着型特別養護老人ホームとは、定員が29人以下の小規模な特別養護老人ホームです。
正式な名称は「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」です。
地域密着型特別養護老人ホームは、利用施設と同じ地域に住んでいる方が入所の対象になります。
特別養護老人ホーム(特養) 対象者・入所条件
入所可能な方
特別養護老人ホームの入所条件は、原則として要介護3~5の介護認定を受けた65歳以上の方で、在宅での介護が難しい方が対象となります。
施設対応が難しい方は対象外
特別養護老人ホームは、要介護者の日常生活や機能訓練、健康管理及び療養上のお世話などを目的とした施設です。
そのため日常的に高度な医療ケアが必要な方、病状などで常に医師の手当てが必要な方など、施設での対応が困難な方は入所できない場合があります。
特例的な入所について
要介護1・2の方でも特例的に入所できる場合があります。
(認知症の症状がある方、家族などの支援が期待できず地域での介護サービスなどの供給も不十分な方、深刻な虐待が疑われる方など)
特例的な入所は市区町村から認められた方が対象となりますので、お住まい地域の自治体等へご相談されることをおすすめします。
入所希望の施設が別の市(県)の場合
特別養護老人ホーム(特養)といえば、一般的には「広域型」と呼ばれる、定員が30人以上の施設を指しています。
広域型特別養護老人ホームの入所条件には居住地域の制限がないので、希望施設とお住まいの地域が別の市や県でもお申込みが可能です。
「広域型」に対して、定員が29人以下の施設は「地域密着型」特別養護老人ホームになります。
地域密着型特別養護老人ホームは、希望施設と同じ地域に住んでいる方が入所の対象になります。
特別養護老人ホーム(特養) 入所期間
特別養護老人ホームは看取りにも対応しているので、入所期間は基本的に終身利用が可能です。
ただし体調の急変などで長期の入院が必要になった場合、要介護度が重くなり常に看護師の介助が必要となった場合などは、退所(転所)手続きが必要となる場合があります。
特別養護老人ホーム(特養) 入所方法
申込み方法・入所までの流れ
下記では、基本的な特別養護老人ホーム(特養)の申込み方法や入所までの流れをご紹介しています。
施設や自治体ごとに対応が異なりますので、必ず希望施設や希望地域の自治体などでご確認下さい。
- 入所を希望する施設に連絡を入れ、「入所申込書」など必要書類を入手します。
地域によっては自治体が申請の窓口になっているので、自治体から申請資料を受取ります。 - 介護保険証のコピーや健康診断書など必要な提出書類をそろえ、入所申込書と共に入所希望の施設、又は自治体に提出をします。
- 入所の候補となった場合、施設側から面接の連絡が入ります。
入所の意思やお身体の状態など、現在の状況確認になります。 - 入所決定後、入所日の調整や契約を結び、入所となります。
優先順位について
入所の優先順位は申込み順ではなく、介護の必要の程度や家族の状況、介護期間など、より入所の必要性が高い方から順番に入所できる方法になっています。
これは厚生労働省令や自治体の特別養護老人ホーム入所指針ガイドラインを基本に判定されています。
更新の手続きについて
特別養護老人ホームは入所の希望者が多く、お申込みしても入所までに時間がかかるのが一般的です。
入所申込の申請情報に対し、本人の近況の状況を把握するためなど、毎年申込の更新が必要となる場合があります。
更新の申請をしなかった場合、入所申込みが取り下げ扱いとなる場合がありますのでご注意下さい。
施設の見学について
多くの自治体では入居後の無用なトラブルを避けるためにも、入所申込書を提出する前に 希望施設を見学されることを推奨しています。
感染症対策により見学を実施されていない施設もあるので、見学希望の方には、事前に希望施設へ連絡されるよう案内しています。
入所を辞退した場合について
正当な理由なく入所を辞退した場合は、希望として申込んでいた全ての施設の名簿から削除されたり、申込みが取下げ扱いとなる場合がありますのでご注意下さい。
特別養護老人ホーム(特養) 退所になる理由
特別養護老人ホームは基本的に終身利用が可能ですが、退所を求められる(認められる)場合があります。
退去要件は契約書や重要事項説明書等などに明記されているので確認が必要です。
- 介護状態の改善
入所後に介護状態が改善され、要介護2以下など入所要件に該当しなくなった場合 - 介護環境の改善
家庭での介護力・介護環境の改善が認められ、また入所者や家族が退所を希望している場合 - 長期間の入院
入院期間が3か月以上など長期にわたる場合 - 高度医療の必要性
高度な医療処置や、24時間の医療対応など施設での対応が困難になった場合 - 迷惑行為
他の入所者や施設スタッフに対し、迷惑行為が行われる場合 - 費用の滞納
費用が払えず滞納が続いた場合
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